クイーン九電記念体育館公演
Hot Space Tour 1982年10月19日〜20日

最終更新 2008/11/29 クィーンの歴史
クィーンは「華麗なるレース」からリアルタイムで聴き始めた

その頃、辛うじて受信できる遠い福岡RKBラジオのCMでは「ボヘミアンラプソディ」の
「ままぁ〜」
のサビにつづいて「クィーン来日公演決定っ」とやっていたが、クィーンはステレオで聴くものであって、見るものではなかったので、
「へぇ、クィーンが福岡に来るんだな」
というくらいに聞き流した。

当時はベイシティローラーズがブームで、ベイシティのスタジオライブやKISSのライブ映像がNHKの土曜夕方の特番で放映され
「ジーン・シモンズの火がすごい」
「パットは弾いとらん」
と目を皿のようにしてみていた。
エアロスミス、クィーンを含むこの4大グループが揃って全盛期を向かえていたことで世はいわゆるロックブーム。クィーンファンはベイシティファンを馬鹿にし、そのクィーンファンをイーグルスファンが
「クィーンは女子どもの聴くもんばい」
と馬鹿にするといった会話が中学生の男子と女子、時には男同士の仲を険悪なものにしていた。

その後、佐世保北高のフレディ・マーキュリーと呼ばれていた
のではなくて、自分で呼んでいた僕は大学に行ったら、ぴたもっこりスーツを着てボーカリストとして活動するために14キロのダイエットを成功させたが、学歴だけで一流企業が出世コースを約束してくれる大学に入れなかったため、バンドを断念し勉学の道をすすもうと心に誓った。

だが、そんな思いも忘れてしまっていた1982年10月、あのクィーンが来日した。
「三度のメシよりクイーンが好き」
だった頃の僕にすれば、発売と同時にチケットをGET!したところだが、1981年に出会った佐野元春に興味と関心が移ったこと、直近新譜の出来に満足できなかたため
「あぁ、来てるんだよなぁ」
という程度の認識にとどまっていた。
さて、クィーン5回目の来日公演の初日となった九電記念公演は散々な入りとなった。この入りに怒ったクィーン側は
「明日の公演のキャンセルも辞さない」
という構えをとった。(RKBアルバイト Y 談)
ミュージシャンにとって、宣伝費はレコード会社やプロモーターが出すものであって、自分が払うわけではない。宣伝が足りないと言いたかったのかも知れないが、福岡に来るのは3年ぶりといえどもその年の4月に出たのが「HOT SPACE」では、2DAYSをいっぱいにするのが無理というものだ。そもそも5都市6公演でなぜ、その2回が福岡なのか。今思えばRKBが
「絶対に入るけん、まかしときんしゃい」
と英語で大見得を切ったのかもしれない。

そして、迎えた翌日10月20日
もちろん、前日の不入りなど知る由もない僕は、いつものように学食にでかけ、朝昼兼用の350円の玉子は薄いがシンプルで美味いオムライスを食べていた。すると
「おまえ、クィーンのファンやったよね?」
と、いつもRKBでコンサート警備のバイトしている Y が声をかけてきた。いつも木で鼻をくくるような言い回しをするYのことが嫌いだったが、
「タダで入れるけん今日のコンサート、見に行かんや?」
という申し出に、三度の飯よりクィーンが好きだった僕は、二度に減っていた食事の手を止めて
「ごろごろごろ」と喉を鳴らして、夕方には九電体育館へ向かった。

西鉄バスを城南線で降りて細い道を抜けて会場にでると、見るからに学生とわかる集団がとぐろを巻いている。
これだけ(タダの)人がいて本当に入れるのか?
「はい、ここまでです」と締め切られるんじゃないか?
と半信半疑の僕は Y にぴったりとくっつき、なんとしても会場に入れるよう緊張していた。
だが、そんな不安をよそに、長い列を作っていた僕らに向かって整理員はあっさりと
「はい、皆さんは2階席に上がって!」
とまるでエキストラを配置するような指し図。
招待券もなし、荷物チェックがあるわけでもなく、そこらにいた人がなだれ込むように階段を上り会場に入った。場所は2階席うしろの立ち見、でもクィーンが見れるとあればそんなことはどうでもいい。
ここで Y に昨晩の不入りから、ラジオで急遽招待の呼びかけをしたことを聴いた。

こうして2階席立ち見まで立錐の余地もなく埋まった九電記念の二日めは盛況のうちにカーテンコールを迎える。クレーンに乗ったカメラマンがステージを舐めるように撮っていたのできっとこのツアーの映像はライブビデオにでもなるのだろう。フレッディのノリがいつもより良かったかどうかは、この日が最初で最後の生クィーンとなった僕にはわからなかった。

2001/7/16 記す
2003/9/25 改筆
2004/4/ 2 加筆
2005/10/27 修正
2008/11/29 修正
2019/11/24 修正

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