スペインのFCバルセロナ寄りスポーツ紙ムンドデポルティーボには、デコ記者が定期的に寄稿している。
W杯グループリーグ第3戦メキシコ戦直前のデコ記者寄稿を翻訳して紹介する。
ESCRIBE DECO
'mata-mata' の試合
(殺す、消す)
ワールドカップは、“負けたら終り”の段階へ突入した。ブラジル
ではカップ戦や、一発勝負の試合を *'mata-mata'と呼ぶ。
この表現は、僕達の監督 Felipao Scolari が、ヨーロッパにも広めた。
彼はこの表現をいつも繰り返し言う。そして、今まさに、
'matas' 'matan'(*1)の場面に来ている。もう、失敗は許されない。
もし、一つでも間違いを犯すと、それはもう命取りになる。
自分に与えられたチャンスを活かせなければ、そこでもう終りだ。
ベスト16は、ワールドカップの中でも最も難しい位置なのだ。
僕にとって、メンタルの管理もまた、非常に重要だ。
僕達は、ここドイツに長期滞在しているが、常に高いレベルの精神
状態を保ち続けなくてはいけない。
自分の役割を果たし、チームを助けるため、目標を掲げ、それに集
中しなくてはいけない。
僕にとって、ワールドカップ初戦であるイラン戦で、僕の初シュー
トが決まった時、本当に嬉しかった。
それは当然、子供の頃から夢見ていた事だった。僕を受け入れてく
れた国、ポルトガルと一緒に、その夢を手に入れる事が出来るなん
て、想像もしていなかった。
Felipao Scolariは僕にって忘れられない存在だ。
彼は、僕がポルトガル国籍を取得するや否や、ポルトガル代表とし
てプレーできるよう、力を尽くしてくれた人だ。先日、フィーゴが
言っていた。
「もし、ポルトガルのサッカー連盟が Felipao Scolari を手放す
ようなことがあれば、それは、ポルトガルサッカーが 1歩後退する
どころか、20歩もの後退に値するだろう」
僕もその通りだと思う。Felipao Scolariの就任は、ポルトガルに
過大な功績を与えた。
ポルトガル代表は、やっと存在感を手に入れた。
ポルトガルもスペイン同様、各クラブのサッカーや政策が大きな影
響力を持っている。時々それは、代表チームにまで影響を及ぼすこ
とがある。
メキシコ戦に関しては、監督とも話したが、危険を冒さないことに
決めた。僕は、メキシコ戦ではプレーしないと思う。すでにイエロ
ーカードを出されているし、ワールドカップでは、審判が簡単にイ
エローを出す。しかも、まだ外転筋の調子が思わしくない。
メキシコ戦の欠場は、次試合でプレーするためにも必要だと思う。
Gio, Van Bommel, Cocuとプレーするためにも、次のライバルは
オランダであって欲しいと願っている。
今日は Rafa Marquezのチームとの対戦だ。僕は彼に賭けている。
できればメキシコも、僕達と共に予選を通過してくれることを望ん
でいる。すでにポルトガル、スペイン、アルゼンチン、ブラジル、
オランダ、スウェーデン は予選通過を決めている。
バルサメンバーによるワールドカップが続いている。
このまま、この流れを止めないで欲しい!
*1 動詞MATARが原型、MATAR=殺す、苦しめる、消すの意
僕にとって忘れられないスタジアム、AufSchalke
AufSchalke Arena de Gelsenkirchenへ入るとき、きっと沢山の素
晴らしい思い出が、僕の中に甦るだろう。そこで僕は、最初のチャ
ンピオンズリーグを戦った。FCポルトのメンバーとしてプレーし、
ゴールを決め、素晴らしい夜を明かした。そして今年、バルサのメ
ンバーとしてパリで再びその素晴らしさを味わった。
Me gusto que Espana no cambiara su estilo ni cuando perdia
負けていても、プレースタイルを変えないスペインは素晴らしい。
スペイン代表は、先日もコメントしたように、全く悪い動きが無か
った。例え負けていても、プレースタイルを変えなかったチュニジア
戦はとても好感をもった。勝利を得るために、以前と変わらぬスタ
イルで戦い続けた。前半の途中まで、出来るだけ早く同点に追いつ
きたいという焦りがあったが、後半では、もう勝負は明らかだった。
Luis Aragones はシュートのチャンスを得るため、あちこちへ動く
ボールラインに、バランスを見出していた。
スペインの試合は、すきを見つけて、そこへ入り込むまで走り続け
るバルサの試合を思わせた。
今、僕達はベスト16入りを果たした。後は、このまま進んでいくだけだ。
この記事はムンドデポルティーボ「ESCRIBE DECO」2006年6月21日掲載を翻訳した。
translated bola