ESCRIBE DECO ・栄冠への一歩 僕は、正直言ってフランスがブラジルに勝つとは思ってなかった。 でも、試合を見て、フランスに軍配が上がるのは当然のゲームだった。 フランスは、かなりのプレッシャーを背負いながらも、調子のいい Zinedine Zidane、そして堅実なディフェンスでよい試合を行った。 ブラジルは試合中、全く機能していないように思えた。そして、 やっと機能し始めた時は、もう遅かった。僕は試合があと30分長 かったら、多分ブラジルが同点に追いついていただろうと思う。 しかし、勝負は負けたら終わり、ただそれだけだ。 フランスはブラジル同様、いやそれ以上に手ごわいライバルだ。 でも僕はここ数年間の公式戦で、ポルトガルが一度もフランスに勝 っていないという敗戦記録を全く気にしていない。そんなものは ただの統計に過ぎないし、記録は破るためにあるのだから。 サッカースタイルからして、ブラジルとの方が戦いやすかったの ではないかと思う。しかし、ポルトガルはセミファイナルで信念を 持ってフランスと戦う。僕達はまだ1度も戦った事がない決勝へ、 そして栄冠への1歩を踏み出した。 既に僕達は1966年の代表メンバー同様、セミファイナル進出 という歴史を成し遂げた。後はさらに上を目指すだけだ。 イングランド戦の後、ロッカールームで Eusebio を見た時は感 無量だった。常に僕達のヒーローだった彼は、涙を流しながら、 僕達一人一人を抱きしめ、ありがとうと言ってくれた。忘れられな いひと時だった。僕達は全員でセミファイナル進出を喜んだ。 ペナルティが始まった時、僕の脳裏には2004年ユーロ大会 イングランド戦のペナルティの一コマ一コマが浮かびあがった。 そしてあの時と同じく、僕はRicardoを心の底から信頼した。彼は 普通の選手じゃない、優れたキーパーだ。彼はレギュラーとして認 められるまでかなり苦労をしている。イングランドの放つシュート と、どう戦うべ きか知り尽くしていた。そして、彼等のシュートを 立て続けに止めた。こんな素晴らしいプレーはここ2年位、どのキ ーパーもやっていない。 僕は、チームメイトに感謝しなくてはいけない。だって、彼らが イングランド戦で勝ったことにより、イエロー累積で先日の試合に 出れなかった僕をセミファイナルへ出場させてくれるのだから。 きっと心に残る試合になると思う。 今大会の過程で不調だったフランスは、スペイン戦勝利後、チャ ンピオンとしての貫禄を取り戻した。彼らもまた、僕達同様、勝利 に貪欲になっている。ポルトガルは1試合1試合大事に戦ってきた。 僕達の力はチームワーク、そして歴史を変えたという自信だ。 ベルリンの決勝までは、近いようで遠い。 ・Ronaldinhoを責める事は、何の意味も成さない。 ブラジルの選手達に対する批判をインターネットで読んだ。 Ronaldinhoについて書かれた記事を見て僕は驚いた。Ronaldinhoの 才能について討論するのは、全く意味がないことだ。 ブラジルがやるべ きことは、失敗点をあらため、それを次へ活かすことだ。 失敗点の一つは Ronaldinhoのポジショニングだ。 バルサの試合と比べてみればそんなことは直ぐにわかる。 ・仲間意識の足りない Mark van Bommelを理解できない オランダ対ポルトガル戦後のMark van Bommelの発言に関しては 驚いたし、理解できなかった。 彼はイングランドの勝利を望み、イングランドが僕達に簡単に勝 つだろうと付け加えた。Giovanni van Bronckhorstは正反対だ。 Giovanni van Bronckhorstは、試合後、僕を抱きしめ、心から僕 の健闘を祈ってくれた。 それこそが真の友情だ。 もし僕が逆の立場だったら、間違いなくオランダを応援するだろ う。なぜなら、2人のチームメイト、そして Phillip Cocu がプレ ーしているチームだからだ。 僕はこの大会で、Ronaldinho, Rafa Marquez, Leo Messi, Carles Puyol, Andres Iniesta, Xavi Hernandez, Henrik Larsson, と共に、そして親友 Edmilson の怪我に一喜一憂した。これこそが、 バルサに君臨する友情、チームワークの証だ。代表選手として戦っ た後、バルサが自分にとってどれだけ大切か感じている。 Mark van Bommelは彼らを見習うべ きだった。
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