2005/7/29
  東京工業大学 大岡山キャンパス 講堂
「新生FCバルセロナのマネジメント」 メモ
    (文中、敬称略)
  ユニを着た学生たちが受付。話しを聞くと東工大だけではないらしい。90年代の古いユニの方もいる。  
  サッポロの協賛により、会場入口付近のデスクに「玉露入りお茶」のペットボトルが"ご自由にどうぞ"と置いてあった。  
  VIP席が20ほど。ただ座っているのは大学関係者か・・  
  そのVIP席のすぐ後ろに陣取る。 となりの二人組は昨日申し込んだと言っている。
18:10  
とおい 2週間前にFCバルセロナからメールをもらった時はとても驚いた。4人のスタッフで1週間の準備だった。至らないところが多いかも知れないけどよろしくお願いします。 この方が開場前にEsteve氏へのお土産の言付けを請け負ってくれた。
  バルサ経営陣紹介  
Alfons Godall (バイスプレジデント)  
Alejandro Echevaria  
Esteve Calzada (Marketing Director F.C.B)  
Javier Munoa  
     
Alfons 多くの日本の方々がここに来て下さり大変誇りに思う。  
  サッカーは世界中の人が文化、知識あらゆる交流をするためのメディアだと思っている。  
  バルサ執行部一同は皆様方と共に学ぶことを目的にここにやってきた。  
  ラポルタ会長と執行部はバルサはクラブ以上の存在であると感じている。  
  というのは、バルサはカタルーニャの文化と密接につながり、スポーツを超えた価値を持っている。すばらしい外交官としての役割を果たすと思っている。  
  この機会を通じて、日本の文化とカタルーニャの文化が交流できる。バルサは13万人のソシオをもっているが企業ではない。上場はしていない。クラブは会員のものなのです。  
  今回来日した目的は世界的によく知られたクラブを紹介するためです。2年前執行部に就いたとき、世界的に有名な選手を得ようと思なければならないと思い、今それを達成したことを誇りに思う。  
  現在、FCバルセロナは1700のファンクラブ(ペーニャ)を擁する団体になっている。  
   我々は規模としても大きくなりたいとは思っているが、サッカーが質を伴って成長することを望んでいる。  
     
講師 Esteve Calzada (Marketing Director F.C.B)  
  残念ながら日本語を話せなくて申し訳ありません。  
  副会長が申したように、2年間のハードな仕事の結果素晴らしい成果を挙げることができた、それをこれからお話したい。  ここで barca toons ロナウジーニョ人形アニメのプレゼン Power Pointのスライドショーをみせながら
   サッカーの産業としての発達について  
   この10年間で欧州のフットボール市場は10〜25%成長した。  
   グッドサイクルが必要です。グッドサイクルによって我々は世界有数のクラブになることができた。  
   まずスポーツ面の投資が重要で、それが社会、経済面に跳ね返り、またスポーツに返ってくる。  
   この3年で年収160億円から207億円へと伸ばした。  
   理由が3つある。収入の柱はスタジアム、メディア、マーケティングからの収入。  
   スタジアムからの収入〜入場料。 これはメディア、マーケティングよりも少ない  
  メディア〜テレビ契約、コンテンツ配信 今伸びている。  
   新執行部がスタートした時、他のビッグクラブとは比較にならぬほど低い収入だった。  
     
スポーツ面の改革  
  前政権では選手のサラリーに投資をしたが結果にむすびつかなかった。  
  2003年の結果をみると、収入よりも選手のサラリーや減価償却が上回るという信じられない状況だった。  
  この2年間、新しい選手を獲得するために130億円を投資した。  
  経済面でプロフェッショナルな分析をおこない成功した。それをお伝えしたい。  
  barca toons のアニメ  
  こういったものをお見せした方がわかりやすいかと思いました。  
   ソシオを増やすためにサービスアップをした。チケットは買いやすい価格にした。  
   スポンサー、サプライヤーの獲得 携帯へのコンテンツ配信も戦略の一つでした。  
   経費削減〜 選手のサラリーに手を付けた。それだけでなく一般的なコストも削減しました。  
  経営陣の全面的な刷新をおこなった。  
  前期は欧州で13位だった収入が、今期は7位になった。  
  来期は25800万ユーロを獲得して5位に付く。  
  こうした改革により、マイナス面をプラスにしスポーツ面の改革もできるようになった。  
  2004−05リーガ優勝は経営が功を奏した。  
  さらに攻撃的な経営をする  
  優勝した時はバルセロナの街に100万人があふれた。  
  収入、財務におけるいろいろな戦略が功を奏した。  
  ウェブサイトに関しては、以前は3項目だったがいまは20項目になっている。  
  欧州で2番目にファンが多い。  
  ウェブサイトへの訪問客は4万人。 期間の言及なし
  試合をみてくださる方が25%増加した。  
未来へのチャレンジ  
  グローバリゼーション、チームの力伸ばすことが重要。  
  この7月29日(土)には日本で4つの欧州クラブが試合をする。このように競争が高まっているが、我々がここにくる価値はというと、それはサッカー関連商品を売ること、スターが見せる質の良いプレーにある。  
   選手にはスポーツ面での活動に第一義を置くよう指導している。  
  持続的成長をもたらすことを約束をしたい。  
  それぞれの国にあったサービスしたい。  
  社会的、一般的な活動を広げていきたい。  
課題    
  産業としての規制、組織化  
  (リーガ、CL、国王杯など)過密スケジュールで試合が行われていて、その上にナショナルチームの召集もある。  
  コストコントロールが重要 契約金などもそのコントロール下におく。  
  我々がこうしてオフィスでやっている仕事は、結局は選手が勝ってくれないと意味がない。  
  ですので最後にリアルなサッカーの映像をお届けして終わりたい。  
  ありがとうございました。 名場面映像が流れる
     
  パネルディスカッション パネルディスカッションんの予定だったがバルサ側が予定より30分早く横浜へ移動するため一方的な質問形式に変更。
19:00 加藤 久氏(ヴィクサーレ沖縄代表、サッカー解説者)
  早川 武彦氏(一橋大学大学院教授 スポーツ産業論)
     
早川 これまでピッチの上で学んできたが、こうしてピッチの外で文化を支える交流を図れることは大きな意味があると思う。  
  Jリーグも力をつけていて、今回の欧州クラブの親善試合ではレアルやマンUを下すまでになっている。  
  バルサを支えるカタルーニャの文化と交流することで文化を学ぶことができると思う。  
加藤 マーケティング世界戦略、なぜ日本?日本の魅力とは?  
Esteve 中国、日本、米国をターゲットにしている。  
  一番力を入れているのが日本。  
  中国、米国はサッカー文化発展のスピードが速くない。  
  日本はサッカーへのハートが熱い。2002年W杯も開催した。そのハートはますます熱くなっていると思う。  
加藤 いかにしていい選手を連れてくるか、選手の見極めはどのように決定するのか?  
Alfons 執行部が手続きを行う。私たちの哲学がある。経済、社会、スポーツ面で活力のある選手を獲得する。  
  チキスポーツ幹事長、ライカールト監督が選手を選ぶ作業に当たる。  
  選手にはバルサの価値観を共有して欲しい。  
  彼らは持ち場でよく働いてくれるのはもちろんだが、彼らが人間的に優れていることを求める。  
  バルサのサラリー体系を受け入れることも必要だ。  
  固定給、成果給の比率は、一般論として固定が60%、成果が40%。  
加藤 ユニフォームの広告 胸に広告を付けてない。なぜなのか?これからもつける可能性はないのか?  
Alfons これまで広告を付けたことがない。今の執行部が広告を付ける決断をくだしたこともご存じだと思う。相手は質と量が優秀な団体でなければならない。いま最終的な段階に入っている  
加藤 広告付ユニフォームは、いつ頃見れるのか?  
Alfons 環境がそれを許した時だ。我々は急いでいない。環境が熟したら。質と量が整わなければない。 Munoaがとなりで"大丈夫か?"って顔で見ている
加藤 (バルサのユニフォームに広告が入るのは)世界が最も注目するイベントだと思う。 そりゃ、言い過ぎだっての
Alfons あくまで状況が許したとき。副会長個人としては、僕はロマンティックな人間なので、ロゴの付いてないユニを着続けるのがいいのでは? 僕が真っ先に拍手、続いて会場から大きな拍手。これに手を挙げて応える。
早川 アジアツアーについて言うと、選手達の(長旅での)疲労を考えると本当にいい試合できるの?と思う。それでも日本にくるポイントは?  
Esteve 疲れについては・・過密スケジュールと関係がある。それはサッカー協会の要望。私どもとしてはアジアツアーが重要なのでそれを1位に置いて行動したい。  
  この夏はアジアでの試合は2回。トレーニングは朝夕の2回に限定している。 6月の来日はカウントに入れていないようだ。
  去年もこのシーズンに日本に来てリーガで優勝した。こういうリズムを今後も続けたい。 つまり来年も来るということですな。
Munoa 日本がどう重要か?  
  それを決定する前に5つの国を分析した。  
  その分析で1300人という最も多いソシオが居た。  
  グッズ販売、コンテンツ配信契約をした最初の国だった。  
  グッズは一番買ってくれている。 スペイン国外で?それとも世界で一番か?は不明
  初めて外国のツアーを行ったのが日本。  
  ほかにもテレビとの契約、肖像権、放映権などの要因がある。 法治国家=契約社会の日本ならでは・・というニュアンスに聞こえた。
加藤 地域に根ざす、地域の子供達を育てる バルサはその方法論を持っている。そのノウハウをぜひ日本で紹介できる場所、機会を作って頂きたい。 既にアスラックさんがそういうイベントを日本で開催していますね。
Alfons こどもたちを立派なプレーヤーに育てるのはバルサの重要な任務だ。若者を育てるため、(カンテラの選手は)合宿に住みサッカー、規律、哲学を学んでいる。  
  この哲学を学ぶために選手も一緒にスタジアムに出て学んでいる。サッカーのもつ寛大さなど。  
  バルサというのは100年という歴史を持ち、地域に根ざしている。強い連帯感を誇る。子供達の教育について世界の子供達について連帯感をもっている。アフリカの子供達、メキシコの子供達にも援助をさしのべている。そういう連帯感を通じて我々の哲学を子供達に教えている。催行の選手を育てることについてはNo.1だと思う。  
     
19:33 バルサ経営陣は横浜へ移動するため退席。 一般のQ&Aが削られたのは残念。いくつか質問を用意していたのだが・・
  お楽しみ抽選会
19:42 終了
   
読んでいただき、ありがとうございました。  

掲載日 2005/08/02
moto

カンファレンスノート